​同窓会報 第47号 号外

特集

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88回生からの寄稿文④ 地域社会から

地方自治の現場から

 

矢嶋 浩行

公務員(茅野市)

 

 地元茅野市役所にて地域づくりの仕事に携わって29年目、6年ぶりに観光の職場に戻ったその矢先、4月16日に全国緊急事態宣言が発令され、社会の人の動きが止まりました。

 観光業・飲食業は特に深刻な影響を受けることとなり、異動早々、コロナ対策に追われる日々が始まりました。

 長野県は5月に県民応援割、国は7月後半からGoToトラベルといった支援策を打ち出しましたが、茅野市もこれらの支援策との相乗効果をねらって、7月から長野県民限定「ちの泊まって応援キャンペーン」いわゆる「ちの割」を始めました。「ちの割」は事業者と行政が協働で、できるだけシンプルな仕組みで使いやすいようにと事業者目線をとり入れた企画でしたが、各種支援策への”申請疲れ”状態だった宿泊施設に喜ばれ、その後、県下の他市町村でも同様な取組みが広がりました。

 こうした県・市町村の支援策は、感染拡大防止のため県民・市町村民限定のものでしたが、新しい”マイクロツーリズム”として、住民が地元の観光地=地域の魅力を再発見する大変貴重な機会となりました。余談ですが、私自身もこのトリプルの割引特典を活用し、無縁と思っていた蓼科の”高級”宿泊施設に初めて宿泊し、あらためて市民として、市職員として地元の魅力の再発見をした次第です。

 飲食店の支援については、商工会議所、飲食店組合と協働で「テイクアウトちの」、「飲食店応援チケットYell Yell Yell」という支援策を実施しました。これらは窮地に立たされた地元飲食店を地元の住民が応援するという、地域の飲食店と住民のつながりを再認識する温かな取組みとなり、地域社会の強化につながったと思います。

当初はこうした緊急支援の次はafterコロナ対策が必要と考えられていましたが、事態は長期化の様相を見せ、withコロナにおいて感染拡大を抑えつつ、いかに集客するかが課題となってきました。これには地元の地域医療関係者との協働で「茅野あんしん認証」制度を創設し、事業者の皆さんにわかりやすく対策方法を啓発し、安心して宿泊・飲食してもらう体制づくりに取り組みました。

 

 振り返ってみると、こうした一連の対策は全て行政と様々な主体との協働で実現したものでした。

 また、地域の魅力の再発見やつながりの強化といった思わぬ効果もあり、加えて、東京一極集中の価値観が見直され、地方への移住熱が高まり、茅野市においても長年停滞していた住宅団地販売が思わぬ活況となるなど、コロナ禍は経済的には危機的状況ではありますが、地方の地域づくりにとっては大いにプラスとなっている面があると思います。

 コロナによって地域の行事が軒並み中止となり、地域社会が分断されはしましたが、逆にその繋がりの大切さが強く意識されたと思います。Afterコロナは地方の地域社会にとって、人間にとって本当な大切なことが価値観の中心となった、温かな世界になると予感しています。

 自分自身も、「此の世を覚ます床虫」として、地方自治の現場でこのような社会の実現に寄与していきたいと思っています。

子育て支援の現場から

 

代田(北澤) 真紀子

子育て支援 (東京都)

 

 地域の子育ての支援をする子ども家庭支援センターで働いています。昨年の緊急事態宣言中は遊び場としての広場を閉鎖しましたが、その間もショートステイや相談事業としての支援は継続していました。今は予約制で広場開放もしていますが、コロナ禍で自宅に籠ってしまう親子も多くなり虐待も増えています。


 先日お母さんと5ヶ月位の赤ちゃんが広場に遊びに来た際、「ここに来て初めてうちの子が笑うのを見ました」と言っていました。大人は外では基本マスクをしているので、0~2歳位の子どもの発達で最も重要な時期に顔の表情が見られないことの弊害が今後出てくるのではないかと危惧しています。
 小学校の休校や保育園の自粛の時は給食の提供がないので、食事が食べられない子どもがいるのではないかと心配して、あえて子ども食堂を開けて子どもを受け入れてくれていた所もあります。


 この状況やマスク生活は続くと思われますが、地域でも赤ちゃんや子どもに優しい目を向け、悩みを抱える保護者や子どもが孤立することのないようにあたたかく見守ってほしいと思います。

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